グローバルプロセス効率化とグループガバナンス(上)

-日立グループのIFRS適用-

株式会社日立製作所 財務統括本部 担当本部長 今給黎 真一

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Ⅰ はじめに

日立グループは2014年度より国際財務報告基準(以下,IFRSという)を適用した。日立製作所の米国会計基準適用は1963年であり,約半世紀ぶりの適用会計基準の全面変更であったが,IFRSプロジェクトと並行して,財務業務プロセス改革と日立グループ統一財務会計システム開発を推進し,グローバル統一オペレーションを実現した結果,決算実務効率は向上した。IFRS適用は,適用会計基準の変更という実務的側面もあるが,適用に至った背景を顧みると,グローバル経営環境やIT(情報技術)への対応,連結グループのガバナンス強化といった様々な要素が,時代の流れと共に複合的に相関しており,IFRS適用はこれらの動きを包括的に象徴している。

本稿では,日立グループのIFRS適用を契機としたグローバルプロセス効率化とグループガバナンスについて,日立グループの事業概況,財務業務プロセスの特徴,IFRS適用,財務会計システム,プロセス効率化,ガバナンス体制といった項目を中心に,実務面からご紹介する。

文中において意見にわたる部分は私見であることを付記する。

Ⅱ 日立グループについて

1. グループ概況

日立製作所の創業...