起業家物語~IPO実現に向けて~ 第10回 その他(四半期報告制度,関連当事者他)

有限責任 あずさ監査法人 パートナー 佐藤和充
有限責任 あずさ監査法人 シニアマネジャー 鶴彦太
有限責任 あずさ監査法人 マネジャー 大橋剛

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この物語は,株式公開(以下,IPO(Initial Public Offering))するにあたって必要となる知識や会計処理,実務上の対応等について,とある実業家(平山文都)の起業ストーリーを通じて解説するものである。なお,文中の意見に関する部分は筆者の私見である。

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連結財務諸表も完成し,無事X2年度の決算をのりきった。業績は好調で,特に期中に取得したK社(子会社)が抜群の伸びを示している。本業であるオンライン英会話も好調で,低コストで自由な時間に本格的な英会話を学べるということで会員数を順調に伸ばしている。直前々期の出来としては上々である。

これで,いよいよIPOが見えてきた。お礼も兼ねて,大波会計士と夜の懇親会を開催した。懇親会のメニューは,のどぐろ(アカムツ)。プロテニスプレーヤーのN選手も好物なことで有名だが,肉より魚を好む大波会計士にはぴったりのメニューだ。全国のおいしいお酒も用意してくれる銀座の店を予約した。

夜の懇親会はすごく盛り上がった。ショートレビュー時,あまりの出来の悪さに大波会計士は愕然としていたこと。K社を買収した理由は,ビジネスというよりは,平山の...