厳選!現場からの緊急相談Q&A 第25回 退職給付会計(簡便法から原則法への変更等)

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 田中 圭

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経理部員 :当社では,退職金規程を制定した当初は従業員は100名足らずであったため,退職給付債務の計算は小規模企業等における簡便な方法(以下「簡便法」という。)を採用していました。近年事業規模の拡大に伴い従業員数も増加しているため,退職給付債務の計算を原則法に変更することを検討しています。変更の際に留意すべき事項があれば教えてください。
会計士 :簡便法と原則法では退職給付債務の計算結果が異なると考えられますが,計算方法の変更による当該差額の会計処理について実際の仕訳例を見てみましょう。また,原則法で退職給付債務の計算を行うためには,新たに計算基礎等を決定したり,遅延認識項目の費用処理方法を検討する必要がありますので,それらの留意点についても確認をしましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)

Q1簡便法から原則法へ変更が必要となるケースについて

当社は確定給付型の退職給付制度を設けていますが,退職給付債務の計算方法は簡便法を採用しています。どのような場合に簡便法から原則法へ変更することになりますか。

◆Answer◆

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