書評 宝印刷 総合ディスクロージャー&IR研究所 編「株主総会招集通知作成の実務Q&A」

(商事法務刊/本体3,600円+税)

 弁護士 松山 遥

( 28頁)

株主総会の招集通知・事業報告・参考書類に関しては,会社法や規則の改正に対応する必要があるだけでなく,証券取引所のルール改正なども意識して作成する必要があり,毎年多数の解説書が出版されている。そのような数多ある類書と比較して本書が特徴的であるのは,招集通知や開示書類のコンサルティングや印刷を手掛ける専門印刷会社の研究部門による解説書であること,そのために法律的な観点からの質問ばかりでなく実務的な観点からのQ&Aも多く採り上げられており,実際の招集通知の記載例も数多く掲載されていることである。

招集通知等の作成に当たっては,単に法定記載事項を並べるだけでなく,よりわかりやすく,機関投資家の賛同を得やすいように情報を開示していく必要がある。特に昨今では,機関投資家の側で議決権行使基準を定め,会社の情報開示の姿勢や開示された情報の内容を精査しながら議案に対する賛否を決める傾向にあり,海外機関投資家の比率が高い企業においては否決リスクも高まっていると言われる。しかし,その実態としては,情報開示の不足から反対票を投じられてしまっているケースも多い。そのため,企業の側でも,法定記載事項か否かにかかわら...