書評 宝印刷(株) 総合ディスクロージャー&IR研究所 監修 新保 秀一 著「モデルで学ぶ有価証券報告書の仕組みと作り方」

(中央経済社刊/本体4,600円+税)

 公認会計士 男澤 江利子

( 52頁)

宝印刷㈱総合ディスクロージャー&IR研究所は,ディスクロージャー制度と実務・実態に関する調査分析,研究活動を行う専門機関である。著者の新保氏は,当該研究所の上席研究員として,有価証券報告書等に関する各種セミナー講師を務めるほか,ディスクロージャーニュースの執筆等を行われている。こうした著者の豊富な知識と経験に基づき,首尾一貫したモデル有価証券報告書を特徴とするユニークな本書が刊行された。

本書は3つの編から構成されている。第1編は,有価証券報告書の概要等に関する解説,第2編は,「モデル有価証券報告書」,第3編は,有価証券報告書の作成ポイントとして,第2編において掲載した「モデル有価証券報告書」の項目ごとに対応した解説が行われている。

本書の最大の特徴は,そのタイトルにもあるとおり,第2編の「モデル有価証券報告書」である。大会社かつ連結財務諸表作成会社を前提とし,東証の業種別区分における電気機器およそ175社を参考にして,汎用性の高い家電製品の製造・販売を取り扱う総合家電メーカーのモデル有報が掲げられている。頻出項目を網羅したモデル企業の出来栄えが秀逸であり,著者のこれまでの経験が存分に活か...