平成28年6月総会想定問答Q&A コーポレートガバナンス・コードを踏まえた想定問答

 弁護士 中村 直人
 弁護士 後藤 晃輔

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はじめに

この1年,新会社法(会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号))の施行,コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という。)の策定に伴う金融商品取引所の上場規則改正と,上場会社を取り巻く環境には大きな変化があった。もっとも,株主総会の運営におけるキーワードは,来場する株主の満足度向上であることに今年も変わりはない。株主の質問に対して役員が正面から回答する。役員と株主の会話がきちんと成立すれば,株主の満足度も自然と向上していく。想定問答集の見直しの際には,ぜひ自然な会話が成立する回答案となっているか,そのような視点で検討してもらいたい。

昨年の株主総会における質問は,経営政策・営業政策,配当政策・株主還元,財務状況,株価動向,リストラ・人事・労務,子会社・関連会社の順に多い。この傾向は近年ほとんど変わっていない。

今年6月の株主総会のトピックとしては,コード関連の質問が中心である。6月総会の会社は,昨年12月までにコーポレートガバナンス報告書を提出している。真面目な株主は,この報告書を読み込んで,株主総会に臨んでくる。中には,他社のコーポレートガバナンス報告書と比べて質...