グループ会計の論点シリーズNo.1 グループ会計のシステム

フジタ国際会計コンサルティング(株) 代表 藤田敬司

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はじめに

法的には独立している企業であっても,経済的には複数の企業が一つのグループとして営業活動することが多い。グループを形成するときの企業結合会計,グループの業績・財務状態を報告する連結会計,その他関連する会計について,論点と事例を考察するのが当シリーズの目的である。第1回目では,まずグループ会計の輪郭を明確にしたい。

IFRSによるグループ会計

企業グループの形成と構成要素に関係する会計基準はIFRS3,IFRS9,IAS28,IFRS11&12が主なものである。また,グループを一つの企業として会計情報を作成するときの代表的基準はIAS27とIFRS10であり双方の表示に係る主な基準はIAS1である。

図表1では,これらの基準間の関わり方を矢印で表わしている。ほかにも重要な関連基準は多々ある。中でもM&Aには公正価値のIFRS13や無形資産のIAS38,個別財務諸表(以下,個別財表という)における投資については金融商品のIFRS9,連結財務諸表(以下,連結財表という)を作成するには外貨換算のIAS211や減損のIAS36は絶対欠かせない。グループ会計はIFRSの心臓部分と手足を駆使して機...