いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第6回 為替予約とヘッジ会計

新日本有限責任監査法人 公認会計士 木村 祥司

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1.はじめに

いまさらきけない会計基準と実務のポイント第6回は,「為替予約とヘッジ会計」を取り上げます。「為替予約」と「ヘッジ会計」の関係について,いまさらきけないポイントを解説していきます。

企業活動のグローバル化に伴い,国際取引の重要性はますます高まり,為替リスクの管理は重要な経営課題の一つとなっています。そこで,為替リスク管理として為替レートの変動による差損益が生じるリスクを回避又は軽減するために,為替予約,通貨先物,通貨スワップ及び通貨オプションなどが行われます。これら為替予約等の効果を適切に財務諸表に反映することが重要です。

為替予約は,円貨でのキャッシュ・フローが固定されるため,キャッシュ・フロー・ヘッジの効果を会計上反映できる振当処理が特例として認められています。振当処理は,外貨建金銭債権債務が取得時あるいは発生時から予約レートで換算した円貨額をもって計上されるため,実務感覚に即したわかりやすい処理であるといえます。ここで,為替予約についての会計処理を理解するために,簡単な設例を考えてみましょう。

【設例】 為替予約の決算会計処理・当社は,振当処理を採用しており,決算期は3月末で...