書評 高桑 幸一・加藤 裕則(編著)『監査役の覚悟』

(同文舘出版刊/本体1,900円+税)

 弁護士 山口利昭

( 35頁)

世間には,監査役に向けて「監査役は職務として何ができるか,何をすべきか」を教えてくれる本はたくさんある。これらの指南書により,監査役にはどのような権限があり,どのような義務があるのか理解することは容易である。しかし「監査役の職務はどうしたら全うできるのか,やろうとしてもなぜできないのか」を教えてくれる本は皆無であった。なぜなら「どうしたら」という部分は監査役実務に精通し,取締役会に出席した上で,その職務遂行に悩み,苦しみ,あるいは喜びを分かち合う経験がなければ書けないからである。監査役という職務に真剣に取組めば取組むほど,監査役に期待される姿と実際の監査役職務とのギャップは大きいと感じるはずで...