わが国の財政赤字は数年前からGDPの２倍を超え，いまや1,049兆円，国民一人当たり826万円に達する。ところが，国民には先進国の中で最悪の借金国という危機感は乏しく，消費税税率アップの先送りに公然と反対した人はきわめて少ない。理由の一つは，日銀が異次元金融緩和によって中長期国債を買い支え，金利を低く抑えているからであろうか。巨額財政赤字が続けば，通常は高インフレと円安が進行しやすくなるはずだが，企業と個人の純資産は積み上がり，デフレと低金利が続き，円は相変わらず安全通貨と見られている。この"いびつ"な財政金融構造はいつから・なぜ定着したのであろうか。また，いつまでも続かないとすれば，いつ・ど...