書評 弥永 真生 (編著)/松本 祥尚,森田 多恵子,柿崎 環,岩崎 俊彦,吉武 一,町田 祥弘(著)『企業集団における内部統制』

(同文舘出版刊/本体3,300円+税)

プロティビティ LLC 会長・シニアマネージングディレクタ 神林 比洋雄

( 20頁)

本書は,日本企業が直面する重要な経営課題である二つのキーワードを取り上げている。それは企業集団というグローバル・グループ経営,並びに,内部統制という戦略達成に合理的保証を提供するとされる経営基盤の二つであり,平成26年会社法改正,平成27年会社法施行規則改正をベースに,取締役会,代表取締役・業務執行取締役・執行役および監査役等が果たすべき任務と課題を多面的にかつ意欲的に検討している。

戦後,日本のグループ経営は事業多角化などで推進され,買収後においても相手を尊重する連邦経営という独特な形などで展開されてきたが,バブル崩壊により,選択と集中による経営改革を迫られることになる。近時,独禁法改正などに...