世界の会計事務所から 第5回 インドネシア 「決算早期化は一日にしてならず」

KPMG インドネシア事務所 マネジャー 西本弘

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意外に思われるかもしれないが,インドネシアの会計・税務を巡るインフラは思った以上に進んでいる。2011年にはインドネシア会計基準(PSAK)にIFRSをほぼ全面的に導入し(ただし,2011年に導入したのは2009年度版のIFRSで,その後の改定は事後的に導入),税務においても移転価格税制を2010年にいち早く導入し,現在はBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)の導入も検討されている。

ここ数年は会計・税務ともに大きな制度変更はなく,本来であれば粛々と実務をこなせばいいはずだが,ここにきてインドネシアにも,少しずつであるが確実に「決算早期化」の波が押し寄せている(ただし,ここでいう決算早期化とは,日本のように「これまで10営業日かかっていたところを7営業日に」といったものではなく,監査終了,決算確定に6カ月かかってしまっているので,何とか3カ月以内に監査まで終わるようにしたい,というようなレベルのものである)。

午前7時,誰もいないオフィスの電気をつけるところから一日が始まる。ジャカルタに駐在している日本人の朝は早い。日本との時差2時間(ジャカルタの午前...