厳選!現場からの緊急相談Q&A 第32回 負ののれん

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 波多野 伸治

( 12頁)
経理部員 :当社は,X社の全株式を取得しX社を当社の子会社にします。X社の前期末の貸借対照表における純資産の部の金額に対し,当社の買収価額の方が少額であるため,負ののれんが生じると考えています。負ののれんは特別利益に計上する予定ですが,負ののれんが生じる場合に考慮すべきポイントを聞かせてもらえないでしょうか。
会計士 :負ののれんについては,負ののれんが計上されることの是非及び金額の妥当性について検討が必要です。負ののれんについて,留意すべきポイントを確認しましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)


Q1負ののれんの会計処理

当社は,X社を同社の簿価純資産よりもかなり低い価格で取得することが出来たため,負ののれんが計上されると考えていたのですが,負ののれんが計上されることの是非及び金額の妥当性について検討が必要とは,具体的にどのような内容か聞かせてください。

◆Answer◆

―Key Point―

・負ののれんは,取得原価が被取得企業の簿価純資産を下回る場合ではなく,取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純...