有限責任監査法人トーマツ　公認会計士　上坂　岳大

経理部員 ：当社の子会社では貸借対照表の純資産の部に評価・換算差額等が計上されています。評価・換算差額等は，連結上ではその他の包括利益累計額として取り扱われ，その増減については，連結包括利益計算書に記載されることになると理解しています。一方で，連結株主資本等変動計算書においても，その他の包括利益累計額の増減について記載があり，連結包括利益計算書の金額とどのような関係になっているのか悩むことがあります。また，組替調整額の注記額にどの金額を記載すべきか迷うことがあります。
会計士 ：連結貸借対照表及び連結損益計算書に関係する仕訳については正しく行えたとしても，連結包括利益計算書との関係で悩んだりしますよね。今日は，包括利益に関するいくつかの論点について，連結包括利益計算書と連結株主資本等変動計算書の関係，組替調整額の注記での取り扱いについて確認していきましょう。なお，以下の解説では，２計算書方式を前提とし，特にことわりのない限り税効果については省略しております。
（文中の意見にわたる部分は，筆者の私見であり，筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。）

Ｑ1その他有価証券を期中で...