課徴金事例集(不公正取引編・開示規制違反編)の公表について

証券取引等監視委員会事務局 取引調査課 課長補佐 森田 哲次
取引調査課国際取引等調査室 課長補佐 海野 昌司
開示検査課 課長補佐 御園 一

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証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)は,平成28年7月28日に「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」を,8月26日に「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」を公表した。本稿ではⅠ.において「不公正取引編」,Ⅱ.において「開示規制違反編」の概要等をご紹介し,市場の公正性・公平性の確保の一助としたい。

Ⅰ.「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」

不公正取引を未然に防止するための参考としていただけるよう,今回の「金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~」(以下,本節において「事例集」という。)では,

(1)インサイダー取引に関しては,平成27年6月から28年5月までに勧告した15事例について,事案の特色及び調査の過程で把握された上場会社におけるインサイダー取引管理態勢の状況等,発生原因などを整理し,

(2)相場操縦及び風説の流布等に関しては,平成27年6月から28年5月までに勧告した相場操縦11事例,風説の流布等1事例について,事案の特色を整理し,

(3)さらに,参考資料として,過去にバスケット条項が適用された個別事例,判例,審判...