ハーフタイム 21世紀企業における会計の役割

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最近の米国ではアップル,アマゾン,フェイスブック,グーグルのようなインターネット企業が人気を集める一方,伝統的企業はアジアやメキシコなどへ製造拠点を移してきた。公開企業数は1998年の約6,600社をピークとして,2012年末には4,916社まで減少した。上場廃止がIPOを上回り,公開企業が激減した背景には何があったのだろうか。Accounting and Business Research誌で調べてみると,会計の役割変化と深い関係があることが判る。

一般に公正妥当な会計原則(GAAP)は経営資源の適正な配分に役立つと期待されてきた。ところが,企業価値の源泉が有形資産から無形資産へ,そして人的資源にシフトし,グローバリゼーションによって企業活動が複雑化したため,企業業績を適切に評価するための充分な情報を一般投資家に提供できなくなってきたという。いまや知的財産と無形資産の形成こそ競争力の源泉であるが,GAAPによれば,そのための投資はほとんどすべてが発生と同時に費用処理するから,バランスシート上の資産にならず,当期利益は赤字となる。これでは一般投資家から十分な資金を集めることは難しい。会計...