実務対応報告第33号「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」等の解説

企業会計基準委員会 専門研究員 藤澤 秀樹

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1.はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は,平成28年12月16日に,実務対応報告第33号「 リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い 」(以下「本実務対応報告」という。)を公表した 。本稿では,本実務対応報告の概要等を紹介する 。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

2.公表の経緯

平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」において,「企業が企業年金を実施しやすい環境を整備するため,確定給付企業年金制度について,運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことができるようなハイブリッド型の企業年金制度の導入を検討」することとされたことを受けて,厚生労働省は,運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合う確定給付企業年金の仕組みとして「リスク分担型企業年金」を平成29年1月より導入することとなった

上記を踏まえ,平成27年11月に開催された第25回基準諮問会議において,厚生労働省より,リスク分担型企業年金に関する会計上の取扱いの明確化をASBJの新規テーマとすることが提案された。その後,基準諮問会議における審議の結果...