ミニファイル 棚卸資産と税効果

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販売目的の棚卸資産が,品質低下等により本来の売価で販売できなくなり,在庫で残るケースがある。このとき,当該棚卸資産について会計上で評価減を行っても,税務上は損金として認められない場合がある。棚卸資産の損金算入要件は,資産が災害により著しく損傷した場合など限定的であるためだ。そのため当該棚卸資産について会計上の簿価と税務上の簿価に差異が生じ,税効果会計の適用対象となる。

上記の差異は,当該棚卸資産を除却または売却して損失が実現したタイミング,すなわち税務上の損金算入が認められた場合に解消する。差異が発生した期では税金を前払いしている状態にあり,差異が解消した時にその期の課税所得を減額し,納付税額を...