企業会計基準第27号「法人税,住民税及び事業税等に関する会計基準」の解説

企業会計基準委員会 専門研究員 淡河貴絵

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1.はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)は,平成29年3月16日に,企業会計基準第27号「法人税,住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「本会計基準」という。)を公表した 。本稿では,本会計基準の概要を紹介する。なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

2.公表の経緯

平成25年12月に開催された第277回企業会計基準委員会において,基準諮問会議より,日本公認会計士協会が公表している税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分に限る。以下同じ。)について当委員会で審議を行うことが提言された。この提言を受けて,当委員会は,税効果会計専門委員会を設置して,平成26年2月から審議を開始した。その後,当委員会は,繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針を先行して開発することとし,平成27年12月に,企業会計基準適用指針第26号「 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 」(以下「回収可能性適用指針」という。)を公表した

当委員会では,回収可能性適用指針の公表後,日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針のうち回収可能性適用指針に含まれないものについ...