Q&Aコーナー 気になる論点(185) 有形固定資産の売却(1)

‐収益認識基準の適用範囲‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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IFRSや米国基準では,収益認識基準とは別に,有形固定資産の売却に関する会計処理を定めているのでしょうか。

A:

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」や会計基準更新書(ASU)第2014-09号「顧客との契約から生じる収益(トピック606)」では,企業の通常の活動のアウトプットではない有形固定資産の売却契約は,適用範囲外としています。しかし,国際会計基準審議会(IASB)はIAS第16号「有形固定資産」を改正し,また,米国財務会計基準審議会(FASB)はトピック360(有形固定資産)を改正し,IFRS第15号やトピック606を適用することとしています。

<解説>

有形固定資産の売却(1)‐IFRS

IFRS第15号5項では,以下を除き,顧客とのすべての契約に適用されるとしています。

(1) IFRS第16号「リース」の範囲に含まれるリース契約

(2) IFRS第4号「保険契約」の範囲に含まれる保険契約

(3) IFRS第9号「金融商品」,IFRS第10号「連結財務諸表」,IFRS第11号「共同支配の取決め」,IAS第27号「個別財務諸表」及びIAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する...