ハーフタイム 情と情報

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大学時代のゼミナールの同窓会では数年に一度のペースで雑誌を発行している。内容は仕事のことや趣味から身辺雑記に至るまで多岐に亘って面白いから,ゼミ担当の先生が亡くなって十数年経つが未だに続いている。編集作業は大変だし印刷費も掛かるがなかなか止められない。そこで昨年の総会で,幹事が次のように提案した。「紙媒体の同窓誌発行は止めて,ウェブ上のホームページに切り換えてはどうかと思います。そのほうがコストはほとんど掛からず,字数制限もなく,好きなだけ書けるから」と。良い提案であり,誰も反対しないだろうと思った。ところが予期せぬ反対意見が飛び出してびっくりした。反対者が言うには「同窓誌が会員同志でやりとりするのは"情報"ではなく"情"だ。単なる情報ならウェブでも良いが,情はやはり紙でないと伝わらない」と。

その後,情と情報についてあれこれ考えてみたが,あの反対意見は情報と人間の関係のあり方を示唆する卓見ではないかと思われてきた。辞書を引いてみると,情には"なさけ"とか"人間味のある心","他人をいたわる心"という温か味とニュアンスがある。ところが,情報にはインフォメーションの意味だけでなく,"国・企...