Q&Aコーナー 気になる論点(186) 有形固定資産の売却(2)

‐部分売却の会計処理‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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Q  米国財務会計基準審議会(FASB)は,2017年2月22日に会計基準更新書(ASU)第2017-05号「その他の収益‐非金融資産の認識中止による損益:資産の認識中止ガイダンスの範囲及び非金融資産の部分売却の会計処理の明確化」を公表しています。非金融資産の部分売却(partial sale)の会計処理はどのように明確化されたのでしょうか。

A:

FASBでは,ASU第2017-05号によって,顧客以外との契約による不動産を含む有形固定資産の部分売却は,支配が移転した際に,資産の認識中止を行い,売手が有する買手の持分(非支配株主持分)は,非現金対価として,公正価値で測定することとしています。

<解説>

有形固定資産の部分売却(1)‐ASU第2014-09号

IASBと共同で収益認識プロジェクトに取り組んできたFASBは,2014年5月にASU第2014-09号「顧客との契約から生じる収益(トピック606)」を公表しています。

トピック606は,IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」と同様に,顧客との契約を対象としているため,FASBはトピック360(有形固定資産)を改正し,その範囲である有...