CFOに必要な財務リテラシーとは何か?第2回 良いROEと悪いROE

東洋大学客員教授・エーザイ常務執行役CFO  柳 良平

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1.コーポレートガバナンス改革で求められる「目的を持った対話」で重視される資本効率(ROE)の論点

日本版スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードは各々,企業と投資家の「目的を持った対話」を推進する車の両輪である。それでは,投資家は日本企業に何を求めるのだろうか。企業はまず投資家のパーセプションを知る必要がある。

2014年日本版スチュワードシップ・コード公表の際,筆者は世界の投資家サーベイを行った(柳2014) が,その中で投資家の求める対話のテーマを質問している(図表1)。

[図表1]投資家は資本効率(ROE)を議論したがっている

質問:日本企業との対話の一番のテーマは何か?

回答数(全体)(日系)(外資系)A資本生産性(ROE)の向上策602931B決算数値,業績予想数値の背景の確認1174Cバランスシートマネジメントの観点からの株主還元の改善651Dコーポレートガバナンスの改善(社外取締役,役員報酬,防衛策等)844Eリストラの実施やコスト削減策000F業界再編,経営統合,事業売却の促進211G当該企業が提供している製品やサービス,事業内容の理解202H中期計画の内容と...