平成29年6月総会想定問答Q&A

 弁護士 中村直人
 弁護士 後藤晃輔

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本稿では,今年の株主総会でトピックとなる問題について,想定される質問とその回答例を掲載する。回答は各社の状況によって決まるものであって,本稿の回答例はあくまでも参考事例に過ぎないことには留意されたい。

◆想定問答例及び解説

1 業績連動型報酬制度

質問例

取締役の報酬額改定の議案について,提案理由によれば,新たに業績連動型報酬制度を導入するとのことであるが,既存の報酬額の範囲内とすることができない理由はあるのか。

回答例

取締役の報酬額は,第●回株主総会において総額5億円以内と決議されて現在に至っております。昨年度の取締役の支給総額は,4億3,000万円程度でありますが,業績連動型報酬制度を導入した場合,業績によっては,5億円の報酬額の上限を超過することになりますため,今般取締役の報酬額の改定議案をご提案させていただいております。

解説

コード原則4‐2.取締役会の役割・責務(2)「経営陣の報酬については,中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ,健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。」,補充原則4‐2①「経営陣の報酬は,持続的な成長に向けた健全なインセンティブの...