「法人税の申告期限延長の特例の適用を受けるに当たっての留意点」の解説

~対話型株主総会プロセスの実現に向けて~

経済産業省 経済産業政策局 企業会計室 室長補佐 中谷 孝之

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経済産業省は,我が国企業が「稼ぐ力」を強化し,中長期的な企業価値を向上させるために迅速・果断な意思決定を行えるよう,コーポレートガバナンスの枠組みの改革に取組むとともに,企業と株主・投資家が建設的な対話を行える環境整備を進めている。今般,こうした取組の一つとして,平成29年度税制改正により,決算日から3ヶ月を越えた日に定時株主総会を開催する場合(例えば3月期決算企業が定時株主総会を7月以降に開催する場合),定時株主総会後に法人税の確定申告を行うことを可能とする特例が講じられたことを受け,本年4月18日,「法人税の申告期限延長の特例の適用を受けるに当たっての留意点」 (以下,「本留意点」という。)を公表した。本稿においては,本留意点の公表に至る背景及びその内容を解説した上で,今回の特例の政策的意義について触れることとする。なお,本稿の意見に関する部分は,筆者の個人的見解であり,筆者が所属する組織の見解ではないことをあらかじめ申し添えておく。

一 背景・経緯

経済産業省が,平成29年度税制改正において,法人税の申告期限の延長措置を要望するに至った背景を遡ると,今から約4年前,平成25年8月に立...