決算短信等の様式に関する自由度の向上を踏まえた上場会社の四半期決算における対応状況

東京証券取引所 上場部 ディスクロージャー企画グループ 調査役 高橋 将文

( 08頁)

1.はじめに

(株)東京証券取引所(以下「東証」という)では,決算短信・四半期決算短信(以下「決算短信等」という)の開示の自由度を高めるとともに,速報としての役割に特化するための見直しを行い,2017年2月10日に有価証券上場規程の改正及び決算短信等の作成要領の見直しを行った。本見直しは,2016年4月18日に公表された,金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ報告‐建設的な対話の促進に向けて‐」(以下「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」という)を踏まえて行ったものである。

本見直し後,東証市場の大半を占める3月期決算の上場会社が,最初の四半期決算を迎えたことから,本稿では,本見直しの概要とともに,2018年3月期第1四半期決算(以下「本第1四半期決算」という)の状況について紹介する。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の個人的見解であることにご留意願いたい。

2.見直しと調査の概要

ディスクロージャーワーキング・グループ報告では,会社法,金融商品取引法,上場規則に基づく3つの制度開示(事業報告等,有価証券報告書,決算短信等)の内容について,企業と株主・投資者の建設的な対話...