書評 鈴木 広樹 著『適時開示実務入門(第2版)』

(同文舘出版刊/本体2,200円+税)

法政大学 教授 石島 隆

( 25頁)

本書は,上場会社及び上場準備会社の経営者・担当者のための適時開示(証券取引所の規則による情報開示)実務の入門書である。

第1章は「適時開示実務の基本」,第2章は「決定事実・発生事実に関する適時開示実務のポイント」,そして,第3章は「決算情報・決算関連情報に関する適時開示実務のポイント」という構成である。

昨今,上場会社の情報開示に関するステークホルダーからの要求が高まる中で,適時開示が必要な情報は多岐にわたっており,その目的と全体像を捉えた上で,適切な開示を行うことが求められているが,上場会社においてもその実務に携わる人材は限られており,必要な知識を習得し,間違いなく適用することが課題となっている。

本書のまえがきにもあるように,東京証券取引所の『会社情報適時開示ガイドブック』の2015年6月版は,B5判で896ページにも及んでおり,効率的に知識を得るには,本書のようなコンパクトな解説書が欠かせない。

まず第1章を読めば,適時開示の目的,開示時期,開示基準,開示に至る流れを理解することができ,個別の開示項目ごとの詳細は,第2章及び第3章を参照することで具体的な内容を知ることができる。さらに開示...