Q&Aコーナー 気になる論点(201) 現物出資による関連会社の設立

‐IFRS解釈指針委員会での議論‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 10頁)

IFRS解釈指針委員会は,共通支配下において,有形固定資産を新設の関連会社に拠出し,当該関連会社の株式と交換する取引の会計処理について,2017年9月の会議で基準設定アジェンダに追加しないことを暫定的に決定し,2017年11月20日までにコメントを求めています。当該取引において,拠出時に関連会社株式との交換益を計上するのでしょうか。

A:

暫定的なアジェンダ決定では,IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」に従って,当該関連会社に対する他社の持分の範囲で交換益を認識するとしています。

<解説>

IFRS解釈指針委員会のアジェンダ決定

IFRS財団が公表している「デュー・プロセス・ハンドブック」において,IFRS解釈指針委員会は,IFRSの枠内での財務報告上の問題を適時に識別し,IASBが財務報告を改善することを支援するとされています(1.3項)。

また,デュー・プロセス・ハンドブックでは,IASBやIFRS解釈指針委員会が対処することが重要と考えられる場合,すべての関係者は,以下のような論点をIFRS解釈指針委員会に照会するように勧めています(5.14項,5.16項)。

(1) 特定の...