私の会計史 theme9 機械経理部 (その2)~経営者も経理マンもビジネス現場を知る必要あり~

  藤田敬司

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シカゴのジョイントベンチャー

機械経理部内では担当外の仕事であったが,シカゴのジョイントベンチャー(JV)への出張に急遽駆り出されたことがある。そのJVは,売上は伸びているが銀行借入が必要になり,本社から支払保証状を差入れて欲しいと言ってきていた。担当部署の人が東京から出張してもNYから出張しても資金繰りがひっぱくする理由はさっぱり分からない,出張予定期間は一応2カ月の予定だが,様子は複雑そうだから長期化する恐れもあると言う。当時の機械経理部長からは予てから,"机に張り付いてばかりいるだけの経理マンは碌な仕事はできない,できるだけビジネスの現場に出向くように"と言われていた。しかも,単独出張ではなく,営業・運輸・会計の若手3名を引き連れて行けと言う。こうなると断ることも難しくなり,俄然張り切らざるを得ない。種々考えた挙句,問題解決は相当難しそうだが,これは経理的にはどうもおもしろい経験になりそうだと思われてきた。

シカゴ郊外にあるJVは,日本製家庭用の芝刈り・除雪など多目的小型トラクターの販売会社で,日本のメーカーはOEM生産では飽き足らず,全米に自社ブランドを広めるのが目的で商社と合弁で...