いまさらきけない会計基準等と実務のポイント 第18回 研究開発費に係る会計処理

新日本有限責任監査法人 公認会計士 安福 健也

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1.はじめに

昨今,我が国企業の経済競争力強化を目的として,研究開発税制の見直しが図られています。税務上,従来は,税額控除の対象となる試験研究費の範囲が,従来の製造業の製品開発にかかる支出を中心としていましたが,ビッグデータ,人工知能やドローン等を活用したサービス開発にかかる支出にも拡大が図られています。一方,会計上は,研究開発費として,研究開発費等に係る会計基準などに,会計処理および財務諸表の注記について規定されています。今回のいまさらきけないでは,会計上の研究開発費と税務上の試験研究費との関係をみながら,会計上の研究開発用の固定資産を取得した場合の会計処理および税務上の対応,ならびに留意事項について簡単な設例を用いながら確認します。

2.会計上の研究開発費

「研究開発費」とは,研究(新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究)および開発(新製品・サービス・生産方法についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として,研究の成果その他の知識を具体化すること)に関する費用をいい,研究開発費には,研究や開発のために要した人件費,原材料費,固定資産の減価償...