新春特別寄稿 ディスクロージャー・企業会計等をめぐる動向

金融庁総務企画局 企業開示課長 田原 泰雅

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Ⅰ.はじめに

平成29年も,企業開示行政に大きな進展のある年であった。

まず,コーポレートガバナンス改革については,改革の深化に向けて,機関投資家と企業の「建設的な対話」が重要であるとの観点から,昨年5月にスチュワードシップ・コードの改訂を行った。また,コーポレートガバナンス改革を更に実質的なものへと深化させていくため,本年6月の株主総会に向けて,投資家と企業の対話の際の「ガイダンス」の策定と必要なコーポレートガバナンス・コードの見直しに向けた検討を進めている。

企業の情報開示については,上場企業による公平な情報開示を求める「フェア・ディスクロージャー・ルール」の導入を含む金融商品取引法の一部改正法が昨年5月に成立し,12月に関係政府令を公布した。また,我が国資本市場の機能強化や国民の安定的な資産形成の実現に向けて,投資家の投資判断に必要な情報の十分・適時な提供を確保し,企業と投資家の建設的な対話に資する情報の開示を更に促進していくため,昨年12月,金融審議会にワーキング・グループを設置し,企業情報の開示及び提供のあり方についての幅広い検討を開始した。

会計監査については,昨年3月に,監査法人...