ディスクロージャーを巡る国際的な動向 第1回 IASBによる財務報告におけるコミュニケーションの改善

企業会計基準委員会(ASBJ) 常勤委員 川西 安喜

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連載にあたって

収益認識,リース,保険契約といった大型の会計基準開発プロジェクトを一通り完了させた国際会計基準審議会(IASB)は,今後数年間,表示・開示に関するプロジェクトに重点的に取り組むこととしている。これに対応して,企業会計基準委員会(ASBJ)では,ディスクロージャー専門委員会を設置し,IASBに対する意見発信のための議論を行っている。

本連載では,ディスクロージャーを巡る国際的な動向についてご紹介することとしたい。執筆はASBJのディスクロージャー専門委員会の事務局のメンバーが交代で行う予定である。

なお,特段の記載がない限り,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておく。

これまでの経緯

(1) 開示に関する取組み

2013年1月,IASBは公開の討論会を主催し,現行の開示の問題点について議論を行った。なお,討論会に先立ち,開示の問題点に関するアンケートが実施されている。

この討論会の議論を受け,IASBは2013年,開示に関する取組み(Disclosure Initiative)プロジェクトを立ち上げ,検討すべき項目として次の10項目を挙げた。

重要性に関す...