注記実務の留意点 第4回 金融商品に関する注記

仰星監査法人 公認会計士 岡田 健司

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はじめに

金融商品に関する注記の全体像に触れたあとに,注記の項目ごとに解説する。想定する企業としては,金融業に分類される会社以外の事業会社とする。基本的に連結財務諸表規則に基づき作成される連結財務諸表を前提に解説しているが,単体の財務諸表でも関連する箇所についての留意点は同じである。

なお,本稿における意見に関する部分については所属する監査法人の見解ではなく,筆者の意見である。

(会計基準等の略称)
会計基準:金融商品に関する会計基準(企業会計基準第10号)
実務指針:金融商品会計に関する実務指針(日本公認会計士協会会計制度委員会報告第14号)
適用指針:金融商品の時価等の開示に関する適用指針(企業会計基準適用指針第19号)
連結財規:連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則

Ⅰ.金融商品に関する注記の概要及び全体像

1.概要

金融商品に関する注記は,会計基準等(会計基準及びその実務指針や適用指針以外の適用指針を含む。)が適用される金融商品について作成される。

2.全体像

有価証券関係注記及びデリバティブ取引関係注記も含めた,金融商品に関する注記の全体像は次頁の【図表1】のとおりである。本稿では,紙面...