ディスクロージャーを巡る国際的な動向 第3回 IASBの開示原則DPとASBJにおける議論(2)

企業会計基準委員会(ASBJ) 専門研究員 小西 健太郎

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はじめに

2017年3月,国際会計基準審議会(IASB)は,ディスカッション・ペーパー「開示に関する取組み‐開示原則(原題:Disclosure Initiative-Principles of Disclosure)」(以下「開示原則DP」という。)を公表した。

本稿では,開示原則DPについて概説するとともに,開示原則DPに対するコメント・レターに向けたASBJにおける議論の状況についてご紹介する。なお,特段の記載がない限り,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であることをあらかじめお断りしておく。

情報の記載場所(第4章)

開示原則DPでは,次の2つの情報提供のあり方について,それぞれ検討が行われている。

・財務諸表の「外」でIFRS基準に準拠するために必要な情報(以下「IFRS情報」という。)を提供する方法
・財務諸表の「中」で「非IFRS情報」を提供する方法

企業が行う年次財務報告を想定した場合,財務諸表の「中」とは,【図表1】における濃い灰色の部分であり,財務諸表の「外」とは,それ以外の部分を指している。

【図表1】企業が行う年次財務報告

(1) 財務諸表の「外」でIFRS情報を提供する方法

財...