私の会計史 theme16 監査役時代(1)‐情報システム会社の業務監査‐

  藤田敬司

( 26頁)

日本ユニシス(株)常勤監査役の3年間(1999~2002年)のはじまり

三井物産の理事は2年で終わる。さあ次は何をしようかと思っていたころ,ある会計情報システム会社から週2回勤務の顧問にならないかという誘いを受けた。平成11年(1999年)から始まる事業年度から改訂連結会計原則が本格的に適用されることになっていたが,その解説本の執筆者に名を連ねていたからであろう。週2回働いてあとは自由にできるのが嬉しく,社長に夕食を御馳走になったこともあって,すっかり行く気になってしまった。

ところが急にCFOに呼ばれて,重要な関連会社である日本ユニシス(株)へ行け,先約はさっさと断ってこいと言われた。最初は迷ったが,先方の社長に会って話してみると気持ち良く了解してもらえた。だが情報システムサービスという業種には全く馴染みがなく,監査役の機能は世間では不信感がもたれている時代であった。そもそも30年間経理マンとして財務諸表を作り監査を受ける立場にいた人間が次は監査をする側に回ることに大いに戸惑った。

旧三井合名のグループ監査方針

監査役経験者の先輩に相談すると,旧財閥持株会社「三井合名」が明治44年(1911...