世界の会計事務所から 第18回 UAE アラブ首長国連邦(UAE)の付加価値税(VAT)
KPMGドバイ事務所 シニアマネジャー 齊藤 賢一
1.UAEの税制概要
アラブ首長国連邦(UAE)において,法人税が課されているのは石油,ガス,石油化学会社および外国銀行の支店に限られており,個人所得税制は設けられていない。UAEにおける主な税金は,2003年1月1日に施行された湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council,以下GCC)統一関税法に基づく輸入品への5%の対外共通関税のみであった。しかしながら,原油価格の低迷による財政悪化を背景に,2017年10月からたばことエナジードリンクに100%,炭酸飲料に50%の物品税が課され,2018年1月1日からは付加価値税(Value Add Tax,以下VAT)法が施行された。本稿では,当地で導入された初の大型税制であるVATについて多く寄せられる相談に対して,FAQ形式で解説したい。
2.VATの概要に関する質問
Q1. VAT導入の背景を教えてください。
GCC加盟国は2017年2月に,加盟国全体にVATを導入するための幅広い統一的枠組み(the signed unified VAT framework)を策定し,加盟6カ国であるUAE,バーレーン,クウェート,オマーン,カ...
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