フェア・ディスクロージャー・ルールに係る政令・内閣府令等の解説

金融庁総務企画局企業開示課 開示企画調整官 大谷  潤
金融庁総務企画局企業開示課 課長補佐 渡部 孝彦
金融庁総務企画局企業開示課 専門官 小中  涼
金融庁総務企画局企業開示課 係長 木崎 真人

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Ⅰ.はじめに

平成29年12月27日,平成29年金融商品取引法改正に係る政令・内閣府令が公布された。当該政令・内閣府令では,上場会社による公平な情報開示(いわゆるフェア・ディスクロージャー・ルール)(以下「FDルール」という。)に関する規定が盛り込まれている。また,平成30年2月6日には,「金融商品取引法第27条の36の規定に関する留意事項について(フェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)が公表され,FDルールについて,企業の実情に応じた情報管理の方法を明らかにするとともに,投資家との対話の場面における同ルールの適用関係等についての考え方が示されている。

本稿では,これらのFDルールの導入の背景等や政令・内閣府令及びガイドラインの概要を説明する。なお,本稿において意見にわたる部分は,筆者らの個人的見解であり,筆者らが所属している組織の見解ではないことをあらかじめ申し添えておく。

Ⅱ.FDルール導入の背景等

FDルールは,企業が,未公表の決算情報などの重要な情報を証券アナリストなどに提供した場合,速やかに他の投資家にも公平に情報提供することを求めるもので...