Q&Aコーナー 気になる論点(211) 税効果会計(2)

‐繰延税金資産・負債の割引‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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Q 企業会計基準委員会(ASBJ)は,2018年2月16日に,企業会計基準第28号「 『税効果会計に係る会計基準』の一部改正 」等を公表しています。これらは,主に開示に関する改正ですが,そもそも資産負債法による繰延税金資産・負債は,将来の法人税等に関するキャッシュフロー(CF)の増減効果を有するものであるため,割引計算されるべきではないでしょうか。

A

以前の英国基準では,割引計算の選択肢がありましたが,現状は削除されています。国際的には,繰延税金資産・負債は割引計算されるべきであるという議論はありますが,IFRSも米国基準も,割引計算を認めていません。

<解説>

企業会計基準第28号と国際的な会計基準との整合性

企業会計基準第28号は,繰延税金資産・負債の表示方法(2項)と,繰延税金資産・負債の発生原因別の主な内訳に関する注記事項(3‐5項)について改正しています。前者の繰延税金資産・負債の表示方法については,企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公開草案に寄せられたコメントを踏まえ,流動又は非流動区分に表示する取扱いを国際的な会計基準に整合させる検討を行ったこと...