IFRS第17号『保険契約』の適用に向けて 第1回 2018年2月開催TRGの解説

有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 藤原 初美
有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 山下 光

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<はじめに>

2017年5月,国際会計基準審議会(IASB)はIFRS第17号「保険契約」(以下,「IFRS第17号」または「本基準書」という)を公表した。IFRS第17号は,原則として2021年1月1日以後に開始する事業年度より適用されるが,本基準書の適用をサポートするため,IASBによりTransition Resource Group(以下,「TRG」という)が設置されている。2018年は,2月,5月,9月及び12月の4回にわたって開催されるスケジュールとなっており,本稿では,2018年2月に開催されたTRGの議論の内容について解説する。なお,文中の意見に渡る部分は私見であり,特に断りのない限り,項番号および付録は本基準書のものを指す。

<TRGとは>

TRGのWebサイト(http://www.ifrs.org/groups/transition-resource-group-for-insurance-contracts/#about)によれば,TRG設置の目的は,利害関係者がIFRS第17号の適用に係る実務上の諸論点を議論する公的な会議体を提供すること,及び利害関係者の意見や質問...