3月期決算対策 平成30年3月期決算における開示と注記に係る留意点

仰星監査法人 公認会計士 濵田 善彦

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はじめに

近年,毎年のように会計基準等が改正されているが,開示項目に係る改正についての検討は通常の決算作業と比較して後手に回ることが多いと思われる。

しかしながら,有価証券報告書の開示までを円滑に進めるためには,開示担当者はそれらの改正内容を網羅的に把握し,自社に該当するものを抽出したうえで決算スケジュールに合わせて必要な情報を収集する必要がある。

本稿では注記を含め,平成30年3月期の有価証券報告書における改正論点について解説する。なお,本稿の意見にわたる部分は所属する監査法人の見解ではなく筆者の私見である。

1.平成30年3月期末から適用される会計基準の改正

3月末決算の会社に対して,平成30年3月期末の決算から適用される会計基準の改正項目は,例年に比較して少なく,該当する会社も限定されていると思われる。

(1)公共施設等運営権

公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い 」(実務対応報告第35号)が平成29年5月2日に公表され,平成29年5月31日以後終了する事業年度から適用されている。

『公共施設等運営権』とは,民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法...