「独立性に関する指針」等の改正に関する公開草案の解説 ~パートナー・ローテーション等~

新日本有限責任監査法人 公認会計士 志村 さやか

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1.はじめに

日本公認会計士協会(以下「協会」という。)は,監査担当者等の長期的関与とローテーション(パートナー・ローテーション等)に関する規定の見直しを行っており,2018年1月26日付けで,「独立性に関する指針」(以下「独立性指針」という。)及び「職業倫理に関する解釈指針」(以下「解釈指針」という。)の改正に関する公開草案 を公表した。本稿では,この公開草案の概要について解説する。なお,文中,意見に関する部分は私見である。

2.改正の背景

2017年1月に,国際会計士連盟における国際会計士倫理基準審議会(以下「IESBA」という。)の倫理規程が改正され,監査業務及びその他の保証業務における担当者の長期的関与とローテーションに関する規定が見直された。これは,大会社等の監査業務に係るローテーションについて,いわゆる7年・2年ルール(同一の監査業務について7会計期間を超えて関与してはならず,7会計期間経過後,2会計期間はインターバル期間として関与を外れなければならない。)を定める現行規定では,監査業務の主要な担当社員等が,連続する16年のうち14年間関与する可能性があるとの多数の利害関係者から...