ディスクロージャーを巡る国際的な動向 第7回 セグメント情報の改善を巡るIASBとFASBの動向

企業会計基準委員会(ASBJ) 専門研究員 林 良生

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はじめに

セグメント情報の報告に関する会計基準であるIFRS第8号「事業セグメント」(以下「IFRS第8号」という。)及びSFAS第131号「企業のセグメント情報及び関連情報の開示」(以下「SFAS第131号」という。現トピック280)は,国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)の短期共同コンバージェンスプロジェクトにより,実質的に同等な基準として開発され,2006年に公表された。

その後,IASBは,2012年に,IFRS第8号を対象とした適用後レビュー(PIR) を実施している。一方,米国においては,2013年に,FASBの母体組織である米国財務会計財団(FAF)により,SFAS第131号(現トピック280)のPIRが実施されている。

PIRの結果,IASBとFAFはそれぞれ,IFRS第8号及びSFAS第131号(現トピック280)は有効に機能していると結論付けたが,いくつかの論点については,追加的な検討が必要であり,修正を行うことが望ましい点も見られたと報告している。

IASBは,PIRの結果を受け,識別された論点に対し,IFRS第8号「事業セグメント」の狭い範...