「有価証券報告書の開示に関する事項‐『一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について』を踏まえた取組‐」の概要

財務会計基準機構 企画・開示室 高野 裕郎

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1.はじめに

財務会計基準機構(FASF)は,平成30年3月30日に,「有価証券報告書の開示に関する事項‐『一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について』を踏まえた取組‐」(以下「本資料」という。)を公表した。本稿では,本資料の概要について紹介する。

なお,文中意見にわたる部分は私見であることをあらかじめ申し添える。

2.本資料の公表にあたっての経緯

我が国においては,現在,金融商品取引法に基づく有価証券報告書(以下「有報」という。)と,会社法に基づく事業報告並びに計算書類及び連結計算書類(以下「事業報告等」という。)という2つの開示書類を作成する実務が行われている。

これらの開示書類について,平成28年6月2日に閣議決定された「日本再興戦略 2016」では,企業と投資家の建設的な対話を促進する等の観点から,「制度的に要請されている事項を一体的に開示する場合の関係省庁による考え方等を整理」することとされた。

その後,平成29年12月28日に金融庁・法務省が公表した「一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について」(以下「環境整備に向けた対応」という。)では,有...