会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第5号)の解説

法務省 民事局付 福永 宏
法務省 民事局付 邉 英基
法務省 民事局付 青野雅朗
法務省 民事局付 坂本佳隆
法務省 民事局調査員 飯嶋めぐみ

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I はじめに

会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(平成30年法務省令第5号。以下「本省令」という)が,平成30年3月26日に公布され,同日から施行されている。

本省令は,公開会社が,事業年度の末日に代えて,定時株主総会における議決権を行使することができる者について定めた一定の日( 会社法(平成17年法律第86号)第124条 第1項。以下「議決権行使基準日」という)において株式の保有割合が上位10名の株主に関する所定の事項を事業報告の内容に含めることを許容するため, 会社法施行規則(平成18年法務省令第12号。以下「施行規則」という) の改正を行うとともに,税効果会計に係る会計基準(以下「税効果会計基準」という)等の改正を受けて,繰延税金資産については投資その他の資産として,繰延税金負債については固定負債として区分して表示することとするため, 会社計算規則(平成18年法務省令第13号。以下「計算規則」という) の改正を行うものである。

本稿は,本省令による改正の概要を解説するものである。なお,文中意見にわたる部分は,筆者らの個人的な意見にすぎない。

Ⅱ 施行規則の改正

1 改正の背景

金融審議会...