「監査上の主要な検討事項」の導入等に関する監査基準の改訂について

金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 高橋 敦子
金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 井上 健太郎
金融庁企画市場局企業開示課 専門官 林 健一

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本年7月,企業会計審議会は,「監査上の主要な検討事項」の導入等を内容とする監査基準の改訂を行った。本稿では,監査基準の改訂の経緯及びその内容を紹介したい。なお,意見にわたる部分はすべて私見である。

Ⅰ.経緯

会計監査は財務諸表の信頼性を担保するための重要なインフラであるが,近年,大手上場企業や上場間もない企業における不正会計事案などを契機として会計監査の信頼性が改めて問われている状況にある。こうした背景の下,金融庁では,「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言を受け,「監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)」の策定(平成29年3月)や,監査法人のローテーション制度に関す...