IFRSをめぐる動向 第108回 動的リスク管理の検討状況(その2)

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 川端 稔

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1.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)および米国財務会計基準審議会(FASB)の月次合同会議等での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。本稿では,IASBにおける動的リスク管理(Dynamic Risk Management)に関する最近の検討状況として,2018年6月開催のIASBの会議までの議論の概要を取り上げます。

IASBは,2017年11月から,動的リスク管理の会計基準の作成に向けた議論を再開しました。動的リスク管理プロジェクトを2つのフェーズに分割し,動的リスク管理において重要な中核的な論点について第1フェーズで取扱い,それ以外の論点については第2フェーズで取扱うと決定されています。

2017年11月および12月のIASBの議論については,本連載第103回 「動的リスク管理(マクロヘッジ)」( No.3347・28頁 参照)において説明しています。

また,動的リスク管理において重要な中核的な論点については,2018年2月から議論が開始されました。2018年2月,3月および4月のIASBの議論については,本連載第105回「動的リス...