押さえておきたい!改正税効果会計基準 第3回(最終回) 開示及びその他の改正

~段階的に改正された基準の全体像と実務ポイントを再確認~

有限責任 あずさ監査法人 公認会計士 前田 啓

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はじめに

近年,税効果会計に関連する会計基準及び適用指針が段階的に改正されてきたが,この作業がおおむね完了したことを踏まえ,最新の会計基準までを総ざらいし,改正の全体像及び実務上のポイントを3回にわたって解説する。最終回は「開示及びその他の改正」を取り上げる。

なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

1.概要

平成30年2月16日に,企業会計基準委員会(ASBJ)より以下が公表された。

①企業会計基準第28号「 『税効果会計に係る会計基準』の一部改正 」(以下「税効果基準一部改正」という。)

②企業会計基準適用指針第28号「 税効果会計に係る会計基準の適用指針 」(以下「税効果適用指針」という。)

①は,開示(表示及び注記事項)に関する改正を取り扱った会計基準である。とりわけ財務諸表利用者が税効果会計に関連する注記事項を利用し分析を行う際に現状において不足している情報を補うことを目的としている( 税効果基準一部改正第35項 )。

②は,日本公認会計士協会(JICPA)より公表されていた以下の実務指針について,基本的にその内容を踏襲した上で必要と考えられる見直しが行われた適用指針...