会計不正の構造【file15】海外子会社の架空取引
・タイプ(不正の種類):架空売上計上 ・業種・業態:繊維関連・卸売業 ・手法・手口:海外子会社および国内子会社により実行された循環取引 |
今回は,海外子会社および国内子会社を舞台に約3年に亘り実行されてきた循環取引を取り上げる。近年,頻発する海外子会社の会計不正に対し,親会社である会社(以降,「会社」という)がいかに管理体制を構築すればよいかを考察する。
1.会計不正の概要
(1)会社の状況
会社は,繊維関連,食品関連,その他を扱う卸売業を営み,国内外に10数社の子会社を有する。本件循環取引は,そのうち繊維関連事業における海外子会社(上海・S社)および国内子会社(T社)を中心として実行された。
S社は,中国に協力工場を擁し,繊維製品の受託生産・輸出販売を行う会社であり,T社は,主としてS社に生産委託した繊維製品等の輸入販売を行う会社として機能する。
本件は,S社とT社が,共謀先(取引先A社,B社,C社(いずれも香港),D社,E社,F社(いずれも日本国内))との間で実行した循環取引の事例である。
ここで,B,C,D,EおよびF社は,すべてA社の代表者乙氏から紹介を受けた取引先であった。
(2)不正の動機
S社は...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします