<INTERVIEW>わが社のIFRS15号対応 日本の収益認識基準の適用に向けたヒントをきく 第4回 飯田グループホールディングス株式会社

( 10頁)
飯田グループホールディングス 経理部 次長 仙土 徹郎

<編集部より>

「収益認識に関する会計基準」が2021年4月1日以後開始事業年度より適用される。同基準は2018年1月1日以後開始事業年度より適用された国際会計基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生じる収益」をベースとしており,IFRS任意適用企業の取組みは「先行事例」として,日本基準の企業の今後の検討に役立つ。第4回は,飯田グループホールディングス株式会社の経理部次長の仙土徹郎氏に話をきいた(第1~3回は No.3366(富士通)No.3369(中外製薬)No.3377(NTTドコモ) にそれぞれ掲載)。

1.影響度調査―適用2年前―

―IFRS15号対応はどのように始めましたか。

仙土氏  当社グループはいわゆるパワービルダーと言われる「一建設」,「飯田産業」,「東栄住宅」,「タクトホーム」,「アーネストワン」,「アイディホーム」の6社が2013年11月に経営統合してできた企業グループです。これらの会社はいずれも戸建分譲事業を始めとする不動産業を行っており,IFRS15号に限らず,新しい会計基準はこれらの会社にほぼ同様に影響を与えるため,IFRS15号の適用に際しても6社以外の会社も含めた全社的なプロジェクトとして行いました。それを踏まえてご説明します。

当社グループは,グローバルな事業展開に向けた経営強化を図るとともに資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的として,統合後間もなくIFRS導入の検討を開始し,2016年3月期の有価証券報告書(以下「有報」)よりIFRSを適用しました。IFRS15号については,強制適用まで時間がなかったことから,2016年6月にIFRS適用初年度の有報を提出した後,息つく間もなく,8月末には監査法人と導入の検討を始めました。ですので,年次ベースでの開示はまだこれからですが,IFRS15号の適用を開始した2019年3月期第1四半期報告書を8月に提出したことから逆算しますと,導入に要した期間はちょうど2年間,途中決算作業も挟みますので実質的にはそれ以下ということになります。

最初に検討を開始した年度,すなわち適用2年前である2016年度の主な流れをまとめたのがこの【資料1】です。

【資料1】適用2年前(2016年度)の取組み

①当社と監査法人での進め方の協議,勉強会資料の確認等...