書評 青山学院大学大学院会計プロフェッション研究センター編 『青山アカウンティング・レビュー 第8号―収益の認識他―』

(税務経理協会刊/本体2,000円+税)

PwCあらた有限責任監査法人 PwCあらた基礎研究所 主任研究員 野村嘉浩

( 42頁)

年次の「青山アカウンティング・レビュー」が本2018年度も上梓された。8巻目となる。会計基準,監査,開示,会計教育などの分野におけるホットな話題を,著名な先生方が幅広い角度から論ずる論文集として,毎回,手に取ることを楽しみにしている。

今号では,小西範幸教授による巻頭言「考える会計学」に要約されるように,前半と後半の2つの特集が組まれた。前半の特集では,日本の会計基準の大きな変革と注目される「収益認識に関する会計基準」を題材に,企業会計基準委員会小野行雄委員長と橋本尚教授による対談,5名の先生方による理論・税務・監査の側面からの視点が提供された。対談では,企業の経営成績のトップラインを示す収益に関して,国際的な会計基準とほぼ同内容の基準が開発された経緯が詳しく語られた後,基準の軸となる5つのステップの内容が明確に説明されている。収益認識のタイミングや取引価格の算定など,現行実務への変更を迫られる論点も含まれることから,基準設定主体の考え方は読者にとって大いに参考となろう。続く5名の先生方が論ずる基準の理論的な背景や税務・監査への影響は,当該基準を具体的に適用する際のヒントが多く述べられて...